「家族のじゅうたんアーモンド」はGOSHIMA絨毯のシリーズのうちのひとつです。
まずはGOSHIMA絨毯ってどんな絨毯なの?からお伝えします。
「暮らしの記憶」をかたちあるものに残す
GOSHIMA絨毯は「暮らしの記憶をつくる」オーダーメイド絨毯です。「暮らしの記憶」とは、生きた証・暮らした証として、自分の心にも、家族の心にも残っていきます。「暮らしの記憶」は“嬉しかった”とか“悲しかった”とか“楽しかった”などの様々な感情で構成され、そんな喜怒哀楽はまったくもって目には見えないものです。ですが、人間らしい喜怒哀楽がかたちや感触として知ることができたなら、そこから次の時代を生きる人は何かに気づき学ぶのです。そういった目には見えない大切な証を、かたちあるものとして残していくことができるものの代表に「絨毯」という生活道具があります。例えば、家族の暮らしの中心に一枚の絨毯があって、日々その上で紡がれた記憶は、絨毯のシミや踏みごごち、触りごこちとなって、家族で共有できるかけがえのない記憶となっていきます。人ひとりの人生は平均寿命で考えれば何十年とそこそこ長いですから、その人生の記憶を残していくためには、丈夫で長持ちでなければいけないのはもちろんのこと、愛着をもって使えるように思いを込めることも大切になってきます。そのために、GOSHIMA絨毯は、使う人が自ら色やデザインを選び決めることで、他の何にも替えがきかないものをつくることができる「オーダーメイド」という方法で、注文を受けてからその人のために一枚一枚手仕事で作っていきます。
GOSHIMA絨毯にある「見えるもの」「見えないもの」
GOSHIMA絨毯は、暮らしの記憶を残す価値ある絨毯です。この絨毯の“価値”には、目に「見えるもの」と「見えないもの」があります。「見えるもの」はいわゆる、原料になる羊毛の質や織りや染色などのスペック部分。「見えないもの」は使う人に何がもたらされるのか、ということ。この「見えるもの」と「見えない」ものの関係性が唯一無二の一枚となって、暮らしを豊かにしていきます。
GOSHIMA絨毯の目に「見える価値」
見える価値|その1「厚み」
世の中には、ほんとうに様々な絨毯があるわけですが、
現代の日本という国で伝え継承していくものとして、
GOSHIMA絨毯は「厚み」にこだわりました。
「厚い」絨毯にこだわったのではなく、
「厚み」についてこだわったのです。
一番初めにできたロイヤルコレクションでは、約25mmの厚み。
2番目にできたトラディショナルコレクションでは約20mm。
そして、3番目にできた百花万華は約15mm。
シリーズを作るたびに、それぞれのデザインと合わせ、「厚み」というものにこだわってきました。
絨毯は、パッと見るだけだとデザイン性の方へ印象が置かれがちですが、一番のこだわりは、品質=スペックの部分です。
どんなにデザインが良くても、品質が伴わなくてはいけない。
長く、愛着を持って使っていただくには、まず何よりも品質が高くないといけない。日本人が日本の生活の中で使い込んでいくときに、品質の中でも一番重視したのは「厚み」です。もちろん、自然の素材を基本としたなかでのことです。
GOSHIMA絨毯の「厚み」には、
人を幸せにする手ざわり。
長く座っていても疲れない弾力。
しっかりと暮らしに落ち着く重厚感。
底つき感を感じない品の良さ。
という利点が挙げられます。
最初にできたロイヤルコレクションでは、長く柔らかいモロッコの羊毛と、コシのあるニュージーランドの羊毛をオリジナルでブレンドして作っています。その糸で織った織りサンプルを何度も踏んで手ざわりを確かめて、「これだ!」という糸ができるまでにだいぶ時間がかかりました。
オリジナルの絨毯らしく、現地スタッフとの根気のいるプロジェクトの果てに今の品質ができています。
いくつものサンプルを作ってできたGOSHIMA絨毯の糸は、高い技術を持った織子さんの手によって、丈夫でしっかりとした絨毯に織り上げられていきます。
では、このこだわりの「厚み」は、使い手の暮らしに何をもたらすのでしょうか。
その答えを「心地よさ」と一言で言ってしまうのは、何だか簡単すぎて、単純すぎますが、やっぱりそれは「心地よさ」に尽きるのです。
そもそも、日本人の暮らしは床に近い。
ということから、座の暮らしをより豊かに、そして、古くから続く日本人の生活様式を再度見つめ直すこと、座ることで得られる安心感をより深く幸福に感じることができる体験と時間を、との思いを持って、GOSHIMA絨毯には「厚み」を持たせています。
毎日使うもの、毎日触れるものだからこそ、
絶対に「心地よさ」は大事なことなのです。
空間に一枚絨毯が敷かれることで、そこには場ができます。
場ができるとそこにみんなが集まってきます。
そして、その一枚の絨毯の上で時を共有していきます。
だから、いつの間にか、絨毯はインテリアや家具というカテゴリを超えて、家族のような存在になっていきます。
その一枚の絨毯を過ごした記憶にあるのは「心地よさ」であってほしい、
そしてその時間が幸せであってほしい。
それは、現代に誕生した新しいGOSHIMA絨毯に込められた願いです。
GOSHIMA絨毯の「厚み」には、「心地よさ」を感じてもらうために必要な毛足の長さと質感がしっかりと織り込まれています。
これは、触れてみないと、踏んでみないとわからないものです。
是非、3シリーズの踏みごこちの違いを確かめに、展示会会場へ足を運んでみてください。
そこで、自身の人生に何をもたらしてくれる絨毯なのか、じっくり考えて見るのも良いかもしれません。
見える価値|その2「デザイン」
まず最初にGOSHIMA絨毯を説明する時、
「この絨毯は、デザインは日本から。
作っているのは、モロッコ・トルコ・ネパールの工房です。
新しい絨毯ですが、作り手の技術は古くから継承されてきたもので、
その伝統と、私たち日本人の感性を融合させた絨毯です。」
とお伝えします。
そう聞いたお客様からは、
「日本人がデザインしているのね。
何か今までの絨毯のイメージと違うなぁと思ったのはそうだったからなのね。」
と言っていただくことがあります。
“日本人デザイナー”がデザインして、それを各国の作り手が作る。
あくまでも日本主導。日本人による、日本のための、日本のデザイン。
のように見えて、そうではない、というのがGOSHIMA絨毯のデザインです。
絨毯のデザインは古来より、文様に祈りや願いを込め、代々その地域や家に受け継がれてきた絵柄だったり、もはや意味をなさないほど使い続けられてきた古い図柄だったりします。
織物は、実用性と美と哲学をあわせ持ったもの。
だから、世界中の多くの人を魅了し、一度出会ってしまったらどんどん好きになって虜にしてしまう。
「絨毯」という世界は果てしなく興味深いものです。
現代に誕生したGOSHIMA絨毯のデザインには、
使い手の思いを浮かべることができる“余白”があります。
その“余白”というのは、単に、絵柄に落とし込まれた空白のことではありません。
これから受け継いでいくものを、次世代に託していくことを、使い手の意思として付加していける。
そんな意味での“余白”です。
時折、
アンティークとなっているオールドの絨毯に魅了されるのは、
どこかの国の昔の人が織物に込めた願いや祈りが、長い時間をかけて、何十年・何百年後に生きる私たちに届くからなんだと思います。
GOSHIMA絨毯は、今を生きる私たちの時代から始まります。
だから、願いや祈りを込めるのは、作り手ではなく使い手です。
デザインも作り手も、使い手にとって願いや祈りが込めやすいように整えます。
そんな意味で、GOSHIMA絨毯には“余白”がある、と考えています。
使い手が込めた願いや祈りは、いつかこの世界に生きる誰かへ届くかもしれません。
ここに、一枚のGOSHIMA絨毯があります。
メモリアルオーダー・アーモンド。
基本となる図柄にアレンジを加えて作られた一枚です。
飛ぶ鳥は子供達。
木の葉に色を付けたのは、お父さん・お母さんのいる場所の印。
家は、戻ってくる場所。
この一枚は4人の子供たちへ向けて、
その子たちのお母さんからの贈り物でした。
出来上がって敷いてみてみると
「子どもたちにいいものが残せた。」
と、ひと仕事終えたような満足感だったようです。
この小さな背中が、
やがて
子どもをおんぶしたり、
背広を着て「行ってきます」と出ていく姿に変わっていく頃、
この絨毯はどんな表情に育っているのでしょうか。
GOSHIMA絨毯のデザインがもつ“余白”には、
記憶と思い出、そして未来への希望が含まれていきます。
見える価値|その3「天然のバネのふかふか感、冬暖夏涼。」
GOSHIMA絨毯に使用する羊毛は、標高2000m以上の高地で育まれた上質な羊毛をベースに、柔らかい羊毛を独自にブレンドしたオリジナルの羊毛です。
この羊毛の特徴は、
1. 保温性・調湿性に優れている
夏はサラッと快適に、冬は暖かく、オールシーズン快適にご使用頂けます。
2. 脂分を豊富に含んでいる
水分をはじき、汚れをよせつけないのでお手入れがとっても簡単です。
3. 天然のバネ
コシのある羊毛は極上のフカフカ感を生み出します。
4. 汚れが少なく美しい
標高の高い岩山に生息するため土汚れがなく美しいことも高品質である所以です。
5. 細くて長い毛質
糸を長く紡ぐことができるので、肌触りはチクチクせず、遊び毛(使用時に出続ける短毛や弱い毛)も使用する毎に落ち着いてきます。
見える価値|その4「自然の色彩・大地の恵みを表す色 伍色染め」
GOSHIMA絨毯に使用する羊毛のほとんどは、専属の染色工房による「伍色染め」で染められています。大地の恵みである草木を原料に、人の手で丁寧に染め上げる「伍色染め」。時間と手間暇をかけて染められた羊毛は、使えば使うほどに経年変化で色が深まり、ますます味わい深くなっていきます。茜で染める赤や、インディゴで染める青などを基本に、色を何度も重ね染めすることで緑や橙などの混合色も表現しています。また、染めずに使用する生成りや魔除けを表す黒も使用されています。
見える価値|その5「手織り・ひと結び、ひと結び、祈りと願いを込める」
GOSHIMA絨毯は、モロッコやネパールのGOSHIMA絨毯専用のパートナーの工房で、全て織り子さんが手作業で織り上げています。ひとえに織り子さんといっても、技術の高い熟練の方もいればまだ修行中の若い方もいますし、都市部で暮らす方や農村部で暮らす方など、さまざまな織り子さんがいます。一人一人が自分の感性を働かせ、日本で使用する人のことを考えながら一枚一枚を数ヶ月の時間をかけて丁寧に織り上げています。絨毯は実用的な絵画と言われるほどに芸術性の高い作品です。シンプルながら、丈夫なつくりを生み出す伝統的な手仕事。雇用を生み、放っておけばなくなってしまうかもしれない技術を絶やさず後世へ継承していくことも大切にしていきます。
GOSHIMA絨毯の、目には「見えない価値」
見えない価値|その1「オーダーメイドでつくる、ということ」
GOSHIMA絨毯はオーダーメイドの絨毯です。
お客様の「作る」という意思があってものづくりが始まります。
多くの人が想像する絨毯は、ペルシャなどで作られたたくさんの絨毯。それが日本へ輸入され、お店に所狭しと並べられている、その中から素敵だなぁと思うものを選んで購入する。絨毯を手に入れる方法はそれが普通です。もしくは、旅行へ行って現地で買ってきた、ということもあるかもしれません。絨毯は国や地域によって、実に様々な文様や色、織りの技術や毛質など、奥深い魅力的な素晴らしいものが数多くあるので、その多くの中から選ぶということも楽しみの一つであると思いますし、私たちも、自らの琴線に触れる様々な絨毯を買い付けてきては販売をしてきたこともありました。
しかし、オリジナルのブランドとして立ち上がったGOSHIMA絨毯では、オーダーメイドという方法で絨毯を多くの人の元へ届けることを選びました。もちろん手織りの絨毯なので、オーダーが入ると仕事が来たと喜ぶ職人が多くいます。GOSHIMA絨毯を織る選ばれた職人として、良きものを作ろうという気概を持って、様々な技術を持った人間が一枚の絨毯に向かってその技術を生かしていきます。
今の日本では使い捨てのものがたくさん増えて、その中で絨毯も例外ではありません。安く買って、古びたら捨てて買い換えればいい。と思うことも少なくないと思います。そんなものばかりではつまらない。世界に、よき技術を持った人たちがいて、欲しいものを手で作ってくれる人がいる。人生で一度はそんなものを手にしてみてもいいのではないかな、と思うのです。
オーダーメイドで作ることができる絨毯は、日本国内では数少ない商品です。
オーダーメイドで作る絨毯の面白いところは、オーダーをした使い手とオーダーを受けた作り手の時間の共有から一枚の歴史が始まることです。制作期間は約4ヶ月。待つ人、作る人、それぞれの人生の中に、それぞれの4ヶ月が含まれていきます。
想像をしてみましょう。
GOSHIMA絨毯のオーダーを受けて作ってくれるのは、モロッコやネパールの人々です。モロッコでは9時間、ネパールでは3時間の時差があります。
私たちが「おはよう」と言って起きてくる時間に
モロッコの人たちは「今日も頑張ったわ」と1日の疲れを癒しています。
私たちが「お疲れ様」と言って帰宅する頃、
モロッコの人たちは「よし、今日も一日頑張るよ」と言って織り機の前に向かいます。
私たちが「お昼にしましょうか」と言っている頃、
ネパールの人たちは空の下で糸を染めたり洗った絨毯を乾かしたりしています。
私たちの国に陽が沈む頃、
ネパールの人々は、まだまだ織り機に向かって無心に織り続けています。
4ヶ月という月日は、ちょうど一つの季節が次の季節へ変わる頃。
秋の頃のオーダーは幾色にも染まる大地の景色の中で冬の終わりに完成し、
冬の頃のオーダーはたくましく寒さを越えて春の終わりに完成し、
春の頃のオーダーは生命力溢れる風に吹かれ夏の終わりに完成し、
夏の頃のオーダーは太陽の強い陽の力を含んで秋の終わりに完成します。
ともにそれぞれの国でそれぞれの季節を巡り、二つ先の季節に日本へ運ばれて来ます。
毎年変わらず咲く春の桜を見て思うことがあるように、オーダーをした季節、届いた日、作り手とともにあった4ヶ月は毎年何か大切なことを思い出すきっかけとなることでしょう。
GOSHIMA絨毯を通して、この長いようで短い、短いようで長い4ヶ月を、遠い国の作り手と共有していきます。
この4ヶ月の経験は、物に対する深い愛着へと繋がっていきます。
だれが作ったかわかるものは、そう簡単に捨てたりはしませんし、長年培われた手仕事の技術による丈夫な造りは、そう簡単に壊れたりしません。そして、手で作ったものは手で直せます。
三方舎は「作り手に光をあてる」という理念を大切にしています。
それは人間というものが大好きだからです。
モロッコやネパールにいる大好きな人たちとともに良き絨毯を作り、
愛すべき日本の人たちに喜んでもらいたい。
オーダーをいただき制作をしている4ヶ月間、日本で待っていてくれる方々へ、現地から工房の写真や情報などをお伝えするお便りをお送りしています。大好きな作り手と大切なお客様を縁で結び合せ、GOSHIMA絨毯が何ものにも代え難い一枚となるように繋いでいきます。
日本人のための、日本の暮らしや風土にあった、手織りのオーダーメイド絨毯。
GOSHIMA絨毯はモノの価値を超えて深い体験をお届けします。
見えない価値|その2「欲しいものを作ってくれる人が地球のどこかにいる」
GOSHIMA絨毯は、オーダーメイド絨毯です。
モロッコやネパールに作り手がいて
お客様の注文を受けて
そこから一枚一枚織っていきます。
いい絨毯を作ろうと
日々本物のものづくりに向かい
工夫を続けている作り手がいます。
GOSHIMA絨毯は
全て手作業で作られています。
お客様が出会ったこともない人々の「手」で
一枚の絨毯が仕上がってきます。
約4ヶ月〜半年、または、それ以上の時間を経て
お客様の元へ届きます。
オーダーメイドって
握手をすることのようだなぁ
と思う。
届いた絨毯に触れた瞬間
遠い国の作り手と握手をする。
握手は
挨拶でもあり、
友好の証でもあり、
祝福でもあり、
感謝でもあります。
異なる国の文化を知り
お互いを尊敬する気持ちを持つ。
相手を理解しようとする考えと
尊敬の気持ちを持つきっかけ。
オーダーメイドだからこそ生まれる
目には見えない価値を。
GOSHIMA絨毯は「暮らしを記憶する」
絨毯を一枚敷くと
そこには「場」ができます。
板の間も
畳の部屋も
ソファの前も
玄関も
何もなければ
意味を持たなかった場所が
居心地の良い場所として
愛着のある場所として
大切な場になっていく。
絨毯があったから
そこにたくさんの思い出を記憶していくことができる。
絨毯があったから
家族と過ごす時間を大切にできる。
GOSHIMA絨毯は
オーダーしている過程も
使い込んでいくことも
いつでも未来が楽しみに思える
ひとつのきっかけとなってくれるでしょう。
絨毯の上では
家族みんなが
同じ時間を
同じ目線でいられる。
家の中の
日常の景色を記憶する時
そこに家族の表情がしっかりと残っているように。
GOSHIMA絨毯が「厚み」にこだわっているのは
心地よく寛ぐ場所をつくることで生まれる
暮らしの記憶を大切にしたいと思うからです。
ずっしりと重いこの絨毯は
みんなの成長を見守り
暮らしを記憶し
他には替えがきかない
「家宝」となっていきます。
「暮らしの記憶をつくる」オーダーメイド絨毯。
GOSHIMA絨毯と暮らす未来について、引き続きお伝えしていきます。